2023奈良オープンゴルフ最終日
壮絶なデットヒートだった。プレーオフ3ホール目のパー5の18番。最初と2ホール目は本戦と同じく、ピン位置が2段グリーンの奥に立っていたため、バーディーを取るには中々難しく、ともにパーで決まらず3ホール目は2段グリーンの下の段で、グリーンエッジから9mという比較的優しいピンポジションに変わっていた。
そこでオナーの加藤勇希はティーショットを初めてフェアウェイに置くと、第2打をスプーンでグリーン右のフェアウェイに運んだ。「ピンまで30ヤードほどだったので、いい感じで打てました」とピン左2mにピタリと付けた。先に第3打をピン奥7mに着つけていたデバルバ・ガブリエレのバーディーパットが左に外れたあと、加藤は慎重に沈めてバーディー。
鮮やかな逆転で初Vを飾って見せた。
「最初の2ホールは初めての経験だったので、緊張しましたけど、最後に思い切ったプレーができました」と会心の笑みを浮かべた。
それにしても、最終日はレベルの高いプレーでギャラリーをうならせたものだ。
首位のデバルバに2打差からスタートした加藤だが、2番で3mを沈めると、3番は4m、4番は3・5mと3連続バーディー。パー5の8番でも10mの長いパットが入り、ついに通算9アンダーで首位に並んだ。それからは14番まで並走したが、パー4の15番で加藤が3mを沈め、単独トップに躍り出た。しかし、最終の18番でデバルバが第3打をピン左1mに寄せるスーパーショットを見せ、通算10アンダーでプレーオフにもつれ込むという大会史上まれにみる激闘となったのである。
加藤は専修大卒業に名門・霞が関CCに所属して2019年にプロ入り。4月の2日間競技の茨城オープン(静ヒルズCC)では、最終日の最終組で優勝争いしたものの、最終ホールで痛恨のトリプルボギーを叩き、3打差の3位位タイに甘んじた。それだけに「あの悔しい思いを必ず晴らしてみたいと思っていたけど、まさか、こんなに早く雪辱できるとは…」声を詰まらせた。
事実、この2日間でボギーは初日の2番ホールのみ。11バーディーを奪い、プレーオフの最後もバーディーで締めくくるという離れ業だった。
「今回のプレーで少々自信もついたので、次は中部オープンの予選からとQTにも再挑戦してみたい」と目を輝かせていた。
また、敗れたデバルバも清々しかった。「自分から崩れて負けたわけじゃないですから、納得しています。きょうは加藤君が物凄くいいプレーをしていましたからね。付け入るスキがなかったです」と、この日もノーボギー(3バーディー)で通算10アンダーまで伸ばしただけに、笑顔すらのぞかせた。
アマチュア部門では、初日72の総合38位タイで5人が並んでいた中で、中西永知(えいち=23歳)が最終ホールでバーディーを奪い、71をマーク、通算1アンダーの143で初のベストアマに輝いた。
「18番は2オンできずにバンカーにつかまったけど、2mに寄せることができました」とニンマリ。
奈良県出身で、梅美台小3年からゴルフを始め、奈良育英高を経て今春 龍谷大を卒業。「このコースは昨年9月のリーグ戦で奈良柳生を回り、初日75のあと、最終日に71を出すことができ、凄く相性もよかった。それで今日もアンダーを出せたと思います」現在はPGAのティーチングプロを目指しており「この賞を自信につなげたい」と会心の笑みをこぼしていた。
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